ブランデンブルク州東部のツィテンドルフ・ニーダルング農業会社の酪農場があります。農場経営者ロマン・ラインケさんと飼養マネージャーのクリストファー・ブラーツさんに、Holm & Laueとのインタビューの中で、2015年に新拠点への移動後、1250頭から2800頭に農場が拡張された子牛飼養の体験談をしていただきました。
この記事では以下を取り上げます
旧子牛舎での開始時の問題
旧拠点では、子牛をK0区画(K0 = 出生直後からおよそ2週間まで)でSingleIgluに入れていました。K1区画(K0の次から離乳まで)で子牛を小グループにして牛舎で飼養しました。そこでは天候の変動のため空調問題がしょっちゅう発生しました。微小気候を作り出せず、高濃度のアンモニアのため子牛たちはしょっちゅう呼吸管炎症を起こしていました。
さらに呼吸管炎症に加えて旧拠点のK0区画ではクリプトスポリジウムの問題も発生しました。このため新拠点にシングルヒュッテを利用すべきでないことが明らかになりました。新拠点には高めに設置された子牛ボックスを設置しました。これでボックスの洗浄と消毒が楽にできるようになりました。
新設Igluハウス
旧拠点では拡張開始にともない牛舎収容能力に限界があったため、すでに最初のIgluVerandaが導入されました。このベランダがとてもよく成功しました。新拠点のためには子牛舎を計画する予定だったため、経営者ラインケさんとチームは哺乳自動機を装備した「理想的な」子牛舎を探し始めました。探しても見つからず、結局実績のある大部屋式Igluで試すことにしました。最初は大部屋方式が大規模スタイルに適用可能かどうかまだ懐疑的だったので、屋根を延長し、大部屋用Iglu16台とH&L 100哺乳自動機を4基導入しました。「Igluハウスはさほど高価ではありませんでした。これで随時考え方を変えて、他の方策が見つかったのです!」と、ロマン・ラインケさんは振り返ります。
豊富に外気が入る新設Igluハウスで子牛を飼養しました。しかし設備サイズがマイナスの影響を及ぼしました。特に風の強い悪天候のとき子牛がじゅうぶんに保護されませんでした。そこで農業会社のチームは子牛舎を継続的に改善しました。プラスチックプレート付きのグリルフェンスをIglu開口部まで設置することにしました。これならIgluの前で寝そべる場所にいる子牛が保護されました。さらに、防風ブラインドを設置し、悪天候のとき追加の保護としました。プラスチックプレートがあるため、高圧クリーナーで小口を洗浄する際でも噴霧が他のボックスに掛からないようにできました。
「今は肺の問題がなくなったとは言えませんが、管理しやすくなりました」と、ラインケさんはとても満足気に語ってくれました。
農場の子牛使用区画K0とK1が農場の中央に位置することで、スタッフが子牛の所を常に往来し、「通り過ぎながらでも」子牛をチェックできるという大きな利点があります。
飼養プログラム
旧設備では子牛を8週間で離乳させていました。「当時は子牛に早く栄養強化剤をやるのが米国発の流行りでした。しかし今は規定値として日次体重増加を1000グラムよりずっと多くすることを目標にしています。これが8週間ではなかなかできませんでした」と、ラインケさん。
おまけに離乳したばかりの子牛が場所の理由から直ちに旧若牛舎に移動されていました。そこでは条件がよくなく、8週間の幼い子牛は成育が止まってしまうことがよくありました。
「このことから生殖のために必要な子牛だけ飼養することに決めました。これで子牛をより長期間K1区画に置いておくための場所ができました。これまでの三年間で平均して生殖率がおよそ25%となっています。現在、子牛を最大12週間Igluハウスで飼養し、給餌することができます。」
子牛たちによいスタートを提供する
誕生時に子牛に4ℓの初乳をやります。初乳は検査され、高品質のみを使用します。ここの農場では平均Brix値が25~27%となっています。
初乳で授乳すると子牛を保温ボックスで乾かします。全身が完全に乾くまでこのボックスに入れておきます。温度次第で(秋以降)、雌子牛はカバーを掛けられます。
生殖区画で生殖チームは分娩管理のほかにも、初乳の給餌、子牛の計量、保温ボックス内の子牛管理も担当します。およそ12時間すると子牛はK0区画の子牛担当女性スタッフに渡されます。
K0区画での多量のミルク準備
最初数日間子牛はその日の2回目の哺乳時に3ℓの出荷用ミルクをもらいます。つまり初日に7ℓを飲みます!2日目からは3回4ℓとなります。
K0段階で子牛は農場に3台あるMilkTaxiで出荷用ミルクをもらいます。この場合でも子牛は1日に3回4ℓの出荷用ミルクまたはMAT哺乳をもらいます。冬には特に3回目の哺乳が非常に有利に作用します。今のスタッフ人手ならこれも楽にこなせます。
K1への移動前数日間、子牛はシングルボックスで代用乳に慣らし、移動のストレスを少し軽くします。
Igluシステム舎内の哺乳自動機
14日後、K1区画でH&L 100自動機4基のうち1基で慣れさせ、12ℓのMAT哺乳もやります。最初は子牛に脱脂乳成分60 %のMATをやります。この装置はK0区画から周知のものです。
各自動機で56頭の子牛を2つのグループに分けて、ステーション4基で哺乳します (HygieneStation当たり14頭の子牛、グループ当たりステーション2基)。子牛を段階的に移動します。また、最後の子牛が入舎してから、継続して60%MATをさらに2週間やります。その後はより低費用の脱脂乳成分40 % MATに切り替えます。
H&L 100での大きな利点は子牛をよく管理できることです。子牛別の哺乳実績がわからないK0区画のMilkbarとは異なり、ここなら各子牛の哺乳実績が文書化されます。
離乳と乾燥飼料の消費
すでにシングルボックスで子牛にドライTMRをやります。これは当然のことながらグループでも継続して給餌されます。
給餌曲線は現在6週間かけて逓減させていき、さらに6週間で離乳させます。しかしチームは当面12ℓを最大8週間哺乳して、より速く離乳させることを検討しています。
8週で離乳開始となります。次に子牛はもう新鮮な搾乳時期の乳牛用サイレージ割当をもらいます。哺乳は12週で完了です。「ゆっくりと離乳させることで終わりの頃には少量を飲むだけとなり、子牛はほぼ粗飼料でのみ育ちます」と、飼養管理者のクリストファー・ブラーツさんは言います。
牛舎内にいる子牛の頭数が少ない場合、子牛はさらに1~2週間はIgluに留まります。子牛は粗飼料と栄養強化剤だけの給餌に慣れる余地があるため、若牛舎でもさらに丈夫になります。ただしこれがいつでも可能であるとは限らず、離乳と引越しによる負担が重なっていることは子牛に現れます。
子牛の体重による達成率の管理
誕生するとまず出生体重が計測されます。K0区画からK1区画に移動する際、2回目の体重測定を行います。3回目の体重測定はK1区画から出す際に行われます。
体重がものをいいます。K0区画では1日当たり1,100 g以上増量。その後のK1区画で、現状では平均日量1,050 g増となっています。冬には体重増分が約100 g落ちますがこのレベルなら満足できます。
ブラーツさんはこうした高い体重増加が優れる初乳供給と栄養価の高い脱脂乳成分60 %のMATのおかげだとしています。さらに後年、若牛区画では2ヵ月おきに体重を測った後、生殖させます。
28日輸送政令による課題
農場から出荷されるどの家畜でも現在は28日間は保持すべきことが義務付けられているため、K0区画は基本的に屋根付きでなければなりません。この農場では応急対策として4台のIgluVerandaを追加調達し、雄子牛のためによく機能しています。
群れ全体への成果に及ぶ影響
ミルク産出能力と初産齢はツィテンドルフ・ニーダルング農業会社ではかなり以前から非常に優れていました。「ここの子牛飼養方法がこの結果に寄与しているかどうかはわかりません。ひょっとするとこの事実を確認できるのはポジティブな直感によるものかもしれません。一方、ここでは例えば初回授乳後に落札されて売られていく頭数が大幅に減りました。この事実は確かに子牛飼養の改善と関係しています。さらに、長年飼養していて移動が少ない群れは飼養費用の節約となり、生涯産出量が増えています。現在、ここでは増殖率18.1 % (2023年1月~10月)で、生涯産出量が44,000ℓ以上となっています。ここに多くの財務的「音楽」が潜んでおり、多くの農場はこれでまだ安心していられます」と、農場主ロマン・ラインケさんがとても満足気にしめくくっていただきました!